Thrustmaster T-LCM Pedals レビュー|磁気センサー×ロードセルの最強ペダル
ペダルへの投資が走りを変える
シムレーシングにおいて、ペダルはしばしば過小評価されている。多くのユーザーはステアリングホイールに予算を集中させ、ペダルは付属品で済ませがちだ。
しかし、ラップタイムを縮める最大の要因はブレーキングである。コーナー進入時の正確なブレーキング、トレイルブレーキングによる荷重移動——これらはペダルの品質に直結する。
Thrustmaster T-LCMは、その真理を体現した製品である。
H.E.A.R.T技術とは
T-LCMの最大の特徴は、アクセルとクラッチペダルに採用された「H.E.A.R.T」(Hall Effect AccuRate Technology)である。
従来のポテンショメーターは、抵抗体を摺動させて位置を検出する。この機構は磨耗が避けられず、使用を重ねるうちに精度が低下する。
H.E.A.R.Tは磁気センサー方式を採用。物理的な接触がないため、理論上は磨耗が発生しない。100万回の動作テストをクリアしており、長期間にわたって一貫した精度を維持できる。
この技術により、アクセルの微妙なコントロールが長期間にわたって安定する。スロットルのデッドゾーンやノイズに悩まされることがなくなるのだ。
ロードセルブレーキの真価
T-LCMのブレーキには、最大100kgまで計測可能なロードセルが採用されている。
ロードセルブレーキは「踏力」で制動力を制御する。これは実車のブレーキフィーリングに非常に近い。ペダルの移動量ではなく、どれだけ強く踏んでいるかで制動力が決まる。
この方式のメリットは明確だ:
- 再現性の高いブレーキング: 筋肉が踏力を記憶するため、毎周同じブレーキングが可能
- トレイルブレーキングの精度: コーナー進入時の微妙なブレーキリリースが容易
- ABS制御の向上: ロック寸前のブレーキコントロールが可能
特にGT7のようなABS強制オンのゲームでも、ロードセルブレーキの恩恵は大きい。ABSの介入ポイントを的確に把握し、最も効率的なブレーキングを維持できる。
MODキットによるカスタマイズ
T-LCMには、ブレーキの硬さを調整するMODキットが付属している。
6種類のスプリングが用意されており、柔らかい順に:
- ソフト(緑): 軽い踏力で反応
- ミディアムソフト(黄): やや軽め
- ミディアム(オレンジ): 標準的な硬さ
- ミディアムハード(赤): やや重め
- ハード(黒): 重めの踏力が必要
- エクストラハード(グレー): 最も重い設定
好みや使用するシム、レースの種類に応じて交換できる。フォーミュラカーのような強いブレーキには硬めを、GTカーには中程度を——という使い分けも可能だ。
フルメタル構造の質感
T-LCMはフルメタル構造を採用しており、その質感は価格以上のものがある。
ペダルフェイスはステンレススチール製で、しっかりとした重量感がある。ベースプレートも金属製で、強い踏力に対してもたわみや振動が発生しない。
この剛性感は、正確なペダルワークの基盤となる。柔らかいプラスチック製ペダルでは得られない、ダイレクトなフィードバックを提供してくれる。
ペダル角度調整
ペダルフェイスの角度は調整可能で、好みのポジションに設定できる。
ヒール&トゥを多用するユーザーは、アクセルとブレーキの高さ・角度を慎重に調整することで、より自然な動作が可能になる。
また、クラッチペダルの位置調整により、H-パターンシフター使用時のクラッチミートポイントを最適化できる。
USB接続の利便性
T-LCMはUSB接続に対応しており、PCに直接接続できる。
これにより、Thrustmaster製品以外のホイールベースとも自由に組み合わせられる。Fanatec製ホイールベースにT-LCMペダル——という構成も問題なく動作する。
ただし、PS5/PS4で使用する場合は、Thrustmaster製ホイールベース(T-GT II、T818等)との接続が必要。コンソールユーザーは注意が必要だ。
専用ソフトウェア
T-LCMは、Thrustmasterの専用ソフトウェアでキャリブレーションが可能。
- デッドゾーン調整: 各ペダルの反応開始点を設定
- 感度カーブ: リニアまたはカスタムカーブを設定
- ブレーキ最大値: ロードセルの最大検出値を調整
ブレーキ最大値の調整は特に便利だ。100kgの踏力を常に発揮するのは現実的ではないため、自分の踏力範囲に合わせて最大値を下げることで、より使いやすくなる。
競合製品との比較
| 製品 | ブレーキ方式 | センサー | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| Thrustmaster T-LCM | ロードセル | 磁気(H.E.A.R.T) | 約3万円 |
| Fanatec CSL Pedals LC | ロードセル | ポテンショ | 約2.5万円 |
| Logitech G Pro Pedals | ロードセル | 磁気 | 約4万円 |
T-LCMは、磁気センサーとロードセルブレーキを組み合わせた製品として、優れたコストパフォーマンスを持つ。Logitech G Pro Pedalsより安価でありながら、同等以上の機能を提供している。
設置上の注意
ロードセルブレーキは強い踏力を必要とするため、ペダルの固定が必須である。
カーペット上での使用は推奨されない。T-LCMの底面にはゴム足があるが、強い踏力には耐えられない。コックピットへの固定、または壁への押し付けなど、確実な固定方法を用意しよう。
まとめ
Thrustmaster T-LCMは、本格的なシムレーシングを志すすべてのユーザーにおすすめできる製品である。
- H.E.A.R.T磁気センサーによる長寿命と精度
- ロードセルブレーキによる実車感覚
- 6段階の硬さ調整MODキット
- フルメタル構造の高い質感
- USB接続による汎用性
ペダルへの投資は、確実にラップタイムとして返ってくる。T-LCMは、その投資に最も応えてくれる製品の一つだ。
ステアリングホイールのアップグレードを考えているなら、その予算の一部をペダルに回すことを強くおすすめする。走りが根本から変わる体験が待っている。
スペック一覧
| ペダル数 | 3ペダル(アクセル/ブレーキ/クラッチ) |
|---|---|
| センサー | H.E.A.R.T磁気センサー(アクセル/クラッチ) |
| ブレーキ | ロードセル(最大100kg) |
| 素材 | フルメタル構造 |
| 調整機能 | ペダル角度・ブレーキ硬さ |
| 接続 | USB |
よくある質問
Q. T-LCMはどのホイールベースでも使える?
A. はい。USB接続のため、Thrustmaster製品はもちろん、Fanatec、Logitech、その他のPC用ホイールベースと組み合わせて使用可能です。
Q. ブレーキの硬さは調整できる?
A. 付属のMODキットで6段階の硬さ調整が可能です。柔らかめから非常に硬めまで、好みに応じてカスタマイズできます。
Q. PS5/PS4でも使える?
A. Thrustmaster製ホイールベース(T-GT II等)と組み合わせた場合のみ、PS5/PS4で使用可能です。単体ではPC専用となります。
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